ここまで来たらイケる。山場の3日目をクリアしたチームジャパン
「今日はルートでもテストでも、転倒がなかったです。かなり調子がよくなってきましたね。テストではちょっと攻めすぎてミスしたところもありましたが順調です。バイクもいい状態が続いてます」プレフィニッシュに到着した鈴木健二(YAMAHA)の表情は、DAY1、DAY2とはまったく違う、リラックスして余裕のあるものだった。
昨日までの猛暑から、10度程度も気温も下がり、ライダーの身体的負担はかなり減ったようだ。ただし、予想されていた雨は、局所的な短時間な豪雨を除いてはほとんど降らず、ダストの多さは相変わらず。ダストは視界を奪うだけではなく、エアフィルターをあっというまにダメにしてしまう。
所々岩が露出する険しい上りを制す#210鈴木健二
内山裕太郎(YAMAHA)は、途中でフィルターが詰まってしまい、WR450Fは極端にパワーダウン。スペシャルテストでもスローダウンを余儀なくされた。
「なんとかタイムチェックにたどり着いて、新品に交換できてよかったですよ。エンジンが止ってしまうぐらいひどい状態で、テストでもタイムロスしちゃいました」という内山。だが、270km、8時間の走行を終えての表情は余裕たっぷりで、流石の安定感。
「ルートはレベル4の難易度のセクションが一ヶ所あるだけで、そんなに難しくはなかったです。ガレ場の登りがあったぐらいで。タイム設定はキツイところがありましたね。タイムチェックに着いたら2分しか余ってなかった(笑)。今日は途中で土砂降りの雨にあたっちゃったけど、涼しかったしラクでしたよ。これからまた10分で前後のタイヤ換えます」と、笑顔でワークタイムにマシンを進めた。
兇暴なダストはマシンの息の根をも奪う#211内山 裕太郎
前橋孝洋(KTM)の表情からもカタさが消えた。
初めての海外イベント、憧れの舞台に日本代表として参戦という気負いが、楽しさに変わってきたようだ。だが、初日のテストで前転のクラッシュを喫したように、危なっかしさがあることも否めない。今日もテストで転倒。鼻からの出血がジャージを染めているのが痛々しい。
それでも「今日はライア・サンツにトレイルで突つかれた」と、楽しそうに話す様子は、21歳の若者らしく微笑ましい。すでに初日に1名を欠いているチームジャパンだが、この山場を越えて、本来の力を発揮しだしたと言えそうだ。
深沈とマシンの整備をする#212前橋 孝洋
チームジャパンDAY3 リザルト
これはホーム試合のアドバンテージなのか?
「天気予報はチェック済みです。雨はいいですね。どっちかというとマディのほうが得意です」スタート前にそう話したのは、USAトロフィチームのリーダー格、テイラー・ロバート(KTM)だった。
USAは、初日にサド・デュバルを負傷によって失い、すでに連覇の可能性も消えているが、テイラー・ロバートは、2年連続での個人オーバーオールを賭けて、スペシャルテストにアタックしている。しかし、ここはフランスだ。エンデューロ最強国は、ホームでの開催に、例年とは比較にならない熱量でこのシックスデイズに臨んでいる。
牧草地のフレッシュなグラストラックは「農業国フランス」のお家芸と言えるシチュエーション。初日から、エンデューロテストも含み、ほとんどがグラストラックでのタイムアタックが続き、フランス勢がそこで思う存分タイムを伸ばす。
初日と同じテストが使用された2日目は、テストの路面も荒れてきて、勇躍、他国チーム、特にオーストラリア、USAのライダーがタイムを伸ばしてきたが、この3日目は、再びすべてがノートラックの牧草地でのテストになった。この3日目だけで使用されるルートとテストでフランス勢は予想通りタイムを伸ばしてきた。
総合タイムでは、ルイ・ラリュー(YAMAHA)、2位にジェレミー・タルー(Sherco)、3位にはスペインのジョセップ・ガルシア(KTM)が食い込んだものの、4位にクリストフ・ナンボタン(KTM)と、トップ4にフランストロフィーチームが3名も並ぶ強さで、ワールドトロフィクラスをリードする。2位は現在オーストラリア、3位はフィンランド。
ISDEはやっと折り返し地点を過ぎたところだが、開催国フランスの優勢が明らかになってきた感。
今年のハンガリーで行われたGPでは2日間とも優勝、#203クリストフ・ナンボタン
トロフィ獲得に賭けた意地と勇気。豪州ウイメンズの戦い
ウイメンズトロフィは、前日にスペインが2名のリタイアを出したこともあって、オーストラリアチームが首位に立ち、リードを拡大。6分近い差で2位にUSA、3位フランスと続く。
昨日からスペシャルテストでの走りに精彩を欠いているように見えていたがオーストラリアウイメンズのジェシカ・ガーディナー(YAMAHA)だが、実は、手の小指を骨折したまま走行を続けているとのこと。5連覇に向けて、歯を食いしばってのライディングは、最終日まで続けることができるものだろうか。
ジュニアトロフィもフランスが首位! イタリア、USAと続き、その差は2分を切っていて、まだまだ僅差。ワールドトロフィの可能性が消えたUSAの期待をこの23歳以下のジュラアトロフィが背負っている形だ
DAY3現在のWorld Trophyリザルト
World Trophy
1 FRANCE
2 AUSTRALIA
3 FINLAND
4 PORTUGAL
5 GREAT BRITAIN
Junior World Trophy
1 FRANCE
2 ITALY
3 USA
4 GREAT BRITAIN
5 CHILE
Women’s World Trophy
1 AUSTRALIA
2 USA
3 FRANCE
4 SWEDEN
5 ITALY
顔面のダストが1日の苛烈さを物語る#210鈴木 健二
終始冷静な#211内山 裕太郎、安定した攻めを続ける