DAY2(11/12)ウェルカムデイは、今日で終わり

DAY2(11/12)
ウェルカムデイは、今日で終わり

11月12日(火) ポルトガル・ポルティマン
第94回FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ 競技第2日

渡辺のエンデューロ適性

「落ち着いたメンタリティは彼の持ち味。すでに6日間という時間の長さを意識したペース配分が出来ているし、攻めるべき時も理解しているはず。今回のメンバーの中では一番体力もある。今のところ調子も良さそうなので安心していいと思いますよ」と話すのは、渡辺学の担当メカニックである平田雅宏。渡辺は初めてのISDE、2日目を終えてE1クラス41名中28位とまずまずの好成績でパルクフェルメにマシンを収めた。280km、8時間に及ぶ走行後、タイヤ交換を含めた整備もそつなくこなす姿は、世界中から集まったエンデューロライダーたちの姿に混じって堂々たるものに見える。

「昨日も走ったスペシャルテストですが、それほど荒れているとも思いませんでした。今日も特にトラブルはなかったですよ。転倒もしていませんし、バイクも問題ないです。ただダストはすごかったですね」と一日を振り返る渡辺。「明日は、チームメイトと同じスタート時刻で、一緒にルートを走れるのでちょっと安心ですね。競技にもだいぶん慣れてきたので、テストではなるべく早くラインを見極めていいタイムを出したいです。6日間きっちり走るのがまずは目標です」と続ける。

ダストとの戦い

初日は朝から断続的な小雨模様だったが、2日目の今日は快晴が続いた。透き通るような青空と強い日差し。スペシャルテストのダストは次第にひどくなり、どの選手も1周で2回、3回とエアフィルターを交換することになった。初日、転倒が多くリズムが掴めないままなんとか走り切った前橋孝洋は、ダストで真っ黒になった顔のままインタビューに応えた。

「昨日の寒さに比べると今日はずいぶんラクでした。標高の高いところではそれでもけっこう寒かったですけど…」。ここまでの成績はE3クラス25名中23位。振るわない成績ではあるが調子は徐々に上向きになっているようだ。「今日も転倒してしまいましたが、昨日に比べるとかなりいいです。徐々に身体も動くようになってきました。テストでの走りも昨日ほどはミスしなかったと思います。明日は新しいコースになるので、やっぱり慎重に行きたいと思います。今日はとにかく早く休みます」と続ける。担当メカニックの中嶋宏明は、自らもISDEで3度完走した経験があるベテラン。「体調や精神的にもいろいろとネガティブな要素が重なって初日はあんまり良くなかったですが、今日はかなり改善したと思います。気持ちがほぐれてくれば明日からもっとよくなると思いますよ」と話した。年長で、かつMXライダーとして大きなキャリアを持つ3人とともに代表に選ばれたことも、前橋には重責になっているかもしれない。

馬場大貴「やはり長いですね」 

強気の渡辺学とは対照的に「スペシャルテストは自分が経験したことがないぐらいに荒れてました。あんなコンディションでタイムを詰める走りとか、あんまり考えられないですよ」とコメントしたのは馬場大貴。「初日は緊張もあって身体が上手く動いてなかったですが、今日は競技にも慣れてだいぶんよくなったと思います。でも疲れました。ルートで何度もコースマークを見落として通り過ぎちゃったり、ボーっとしちゃうことが多くて。明日は新しいルートになりますからもっと慎重に走らないといけないですね。

今日は転倒はありましたけど、怪我はしてないしバイクも大丈夫です。明日からは、あんまりレブを当てるような走り方はないで、バイクも身体も6日間きっちり走りきることを意識していきたいと思ってます」。馬場は現在E1クラス41名中、35位。トータルタイムでは渡辺との差は4分ほどだ。

好調が続く釘村忠 

2日目を終えてチームジャパンとしての成績は17か国中14位と、ひとつ順位を上げることに成功した。激戦区のE2クラスを担当する釘村忠は40名中27位、トップとのタイム差は10%以内でゴールドメダル圏内の成績をキープしてチームを牽引する。

「今日も長かったし、ちょっと疲れていますが充分回復できるレベルです。コースは荒れていますが、その割には調子よく走れました。昨日のベストタイムより悪いテストもありましたが、コースが荒れていることを考えるとまずまずだと思います」と笑顔で話す釘村。「バイクもすごく調子いいですね。もともとすごく軽くて扱いやすいんですが、Red Motoが、エンジンのマッピングなんかをしっかりセットアップしてくれて、ここのコースにぴったり合っます。450の特性を活かしてスムーズに走れるように心がけますが、明日はまた新しいコースなので無理せずに徐々に攻めていければと思っています」と続ける。

タフなシックスデイズへの回帰 

ISDEは、近年「タフさを取り戻した」と言われているが、このポルトガル大会も例外ではないようだ。タイムチェック毎の時間設定も大幅に余裕があるものではなく、ちょっとしたミスがすぐに遅着のペナルティに直結する。そして1日2周という設定でコースは荒れ放題となり、ライダーを苦しめる。

「1日目、2日目はウェルカムデー」とも言われ、3日目から難易度が本格的に上がるのも通例。明日からはさらにタフな競技になりそうだ。現在のところ、ワールドトロフィ争いはオーストラリアがリード、僅差でUSAチームが追う展開。どちらも乾いた土地に強いライダーが多く、接戦はこの先も続くはずだ。ウイメンズトロフィは、タラ・ギガーら著名な女子ライダーを擁するUSAが首位に浮上。オーストラリアが現在2位。23歳以下のジュニアトロフィもオーストラリアが首位、それをUSAが追う展開だ。

レポート 春木久史

END

#140 渡辺学 7:20.32 7:12.98 8:23.02 7:27.66 7:27.83 8:42.65 6:53.87 53:28.33
+1:11.67 +50.28 +1:14.21 +1:05.42 +55.45 +1:17.37 +50.36 +7:23.84
(79位) (77位) (80位) (76位) (77位) (79位) (81位) (77位)
#141 馬場大貴 7:34.24 7:25.77 8:55.29 7:44.47 7:59.66 9:05.14 7:08.74 55:53.31
+1:25.59 +1:03.07 +1:46.48 +1:22.23 +1;27.28 +1:39.86 +1:05.23 +9:48.82
(89位) (86位) (97位) (88位) (95位) (92位) (92位) (92位)
#142 釘村忠 7:01.58 7:05.82 8:21.14 7:11.09 7:19.41 8:25.01 6:40.49 54:04.81
+52.93 +43.12 +1:12.60 +48.85 +47.03 +59.73 +36.98 +6:00.32
(56位) (69位) (78位) (59位) (69位) (67位) (70位) (67位)
#143 前橋孝洋 8:17.01 7:40.78 9:29.39 8:06.64 8:22.72 9:51.87 7:15.38 59:03.79
+2:08.36 +1:18.08 +2:20.58 +1:44.40 +1:50.34 +2:26.59 +1:11.87 +12:59.30
(101位) (94位) (102位) (96位) (101位) (103位) (94位) (100位)

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