(2017年)DAY2(8/29)凶悪なトラックを制し、鈴木・内山・前橋はオンタイムで次のステージへ

(2017年)DAY2(8/29)
凶悪なトラックを制し、鈴木・内山・前橋はオンタイムで次のステージへ

熱波、ダスト、荒れ狂うコース。2日目にしてリアルエンデューロが牙を剥いた

「初日よりさらにキツいですよ。トレイルもスペシャルテストも、どこも深くワダチが掘れているだけならいいんですど、その中に岩や木の根がたくさん隠れていて、すぐにフロントを吹っ飛ばされる。

とにかくダストが多くて、ラインが見えない。今日も35度オーバー…。ルート(移動区間)では転倒しませんでしたが、テストでは毎回のようにやっちゃいましたね。攻めていっても荒れたコースでミスっちゃって、結局ロスしてしまいました。キツいですね。暑さも、コースも…」8時間を超える走行を終え、プレフィニッシュでいったんヘルメットを脱いだ鈴木健二は苦しそうな表情を見せる。

「もしかしたら、今日がいちばキツい日かもしれないですね。初日と同じルートを使っているから荒れているし、身体の慣れという意味でも。明日は新しいコースだから、ちょっとラクになるかもしれない」と続ける。テストは攻めた。だが、小さな転倒も続いて、タイムは伸び悩んだ。

 続いてプレフィニッシュに到着した内山裕太郎も「ルートは意外に楽だったって、昨日は言いましたけど、そうでもないですね」と笑って見せる。けっこうキツイですよ。前半と後半に舗装路が多いぶん、真ん中あたりに難しいトレイルが集中していて、そこで一気に体力を奪われます。タフな大会だと思います。今日は、急なガレ場の登りと下りが特に面白かったですね。前転しちゃいますよ!」その後のワークタイムでは、10分ほどで前後タイヤを新品に交換し、さらにエアフィルターも交換。内山の余裕は、YAMAHAの準ファクトリーチーム、OUTSIDERS YAMAHAのメカニックたちを感嘆させるほどだった。

どのライダーも2日目にしてマシンの消耗は激しい。鈴木のWR250Fは、DAY3の朝クラッチプレートを交換する予定とのこと。

前橋孝洋も、オンタイムで2日目をクリア。「余裕ですか? 昨日と変わらないですよ」と話すが、長い行程を無事に終えた安堵からか、その表情には初日にはなかった明るさが感じられる。ワークタイムでは、リアタイヤとエアフィルターを新品に交換してパルクフェルメにマシンを進めた。

#212前橋 孝洋

チームジャパンDAY2 リザルト

JAPAN:19位/19ヵ国

#211内山 裕太郎

このシックスデイズはキツい。そんな空気がISDEビレッジを覆う

「ぼくたちだけじゃなく、どの選手もルートやテストで転倒が多いし、表情にも余裕がないですよ。みんなキツいんんだと思います(鈴木健二)」

2日目にして「今年のシックスデイズはキツい」という空気が、パルクフェルメを覆っている。ワールドトロフィ争いは、序盤から波乱続きだ。USAはサド・デュバルがリタイヤ、続いてスペシンもクリストバル・ゲレーロがリタイアして、一気に下位に沈んでしまった。

フランスが優勢だ。初日の時点では、多くのライダーがフレッシュなグラストラックに苦労し、タイムを出せなかったとコメントした。MXGPからエンデューロに転向したばかりのクリストフ・シャルリエ(Husqvarna)も「序盤のグラストラックはどう走ればいいのかわからず、とにかく怖かった」とコメントしている。一方、同じフランストロフィチームのナンボタン(KTM)、ラリュー(YAMAHA)といったエンデューロGPライダーはここで一気にアドバンテージを稼いだ印象だ。

1日目と同じテストを走った今日は、グラストラックの表面が剥がれて深いラッツのコーナーの連続となり、戦況は一変した。モトクロスライダー、クロスカントリーライダーが、荒れたテストで本領を発揮。

USAのライアン・サイプス(Husqvarna)がテストを首位でまとめ、2番手もモトクロスから転向してまもないスペインのジョセップ・ガルシア(KTM)、3番手にイタリアの若手、ダビデ・グアルネリ(Honada)と続いた。さらに4番手はオーストラリアのダニエル・ミルナー(KTM)。初日のテストタイムで1-2のナンボタンとラリューはその下に続く。

ノーラッツのグラストラックの特殊性は、鈴木健二も「まったくどう攻めていいかわからない。特に下って上りに移る時の逆バンクをどう処理したらいいのか」と語るように、トップクラスの戦いにも影響している。現在ワールドトロフィーチームクラスの1位はフランス、4分以上離れているがオーストラリアが2位に浮上。フィンランドは3位に落ちた。

明日DAY3のスペシャルテストは、再びすべてフレッシュなグラストラック。地元フランスが再び大きくタイム差をつけてくるのではないかと思われるが、天気予報は雨。この灼熱のフランスは、一気に秋を迎えるとも言われていて、4日目の最低気温は9度の予報。どう状況が変わるかは、未知数だ。

#210鈴木 健二

6日間のうち、もっともキツいのがDAY3だ

ウイメンズトロフィは、初日優位だったスペインだが、ライア・サンツ(KTM)を除いた2名がリタイアして一気に下位転落。男子に混じってもゴールドメダル確実というタイムでチームを牽引るサンツにとっては、苦々しい結果となってしまった。代わって首位に浮上したのは、オーストラリアチームだ。ウイメンズトロフィ5連覇という快挙への期待が一気に高まった2日目である。

23歳以下のジュニアトロフィは、USAが首位、2位フランス、3位イタリアとなっているが、タイム差はチーム合計でわずか15秒。三者互角の戦いといって良さそうだが、やはり明日はグラストラックに強い、地元フランスが優位と予想できるだろう。

DAY3は、内山裕太郎のようなベテランが口を揃えて言うように、6日間のうちでもっともキツい「山場」というべき日になる。ここをどのように乗り切るか、チームジャパンの動向から眼を離さないで欲しい。

DAY2、#254ライア・サンツ(KTM)は、オーストラリアの#250タイラー・ジョーンズに次いでウイメンズ総合2位

朝のワーキングタイムで念入りにチェックをする#210鈴木健二

前日に600台以上ものマシンが走った路面は過酷の一言

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