DAY3(11/13)エクストリームエンデューロか! 強烈なルートに翻弄される世界のライダー

DAY3(11/13)
エクストリームエンデューロか! 強烈なルートに翻弄される世界のライダー

11月13日(水) ポルトガル・ポルティマン
第94回FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ 競技第3日

本性を顕した6日間 

「2日目まではやはりウェルカムデイだった」。ライダー、そしてパドックにいるすべての関係者がそう思っていたはずだ。未明に降り出した雨によるコンディションの変化を差し引いても、コースの難易度は高かった。ポルトガルのエンデューロは伝統的にハードなものと言われているが、まさにそれを再現するものだった。ポルティマンサーキットから北の山岳地帯に伸びる岩山のシングルトラックは「まるでRed Bull Sea to Sky(トルコの有名なハードエンデューロ)のゴールシーンみたいでした」と前橋孝洋が冗談めかして言うほどだった。後半のスペシャルテストのスタート前につかまえた馬場大貴も「今日はコースやばいっすよ!」と呆れ顔を見せる。雨で難易度が高くなり過ぎたり、深刻な渋滞が発生した一部の区間は、2周目には迂回ルートに変更になったり、タイム設定が上乗せさせるなどの対応がとられた。クラブチームクラスは急遽、2周目をキャンセルし、この日の競技は1周で終了するとこになったが、ワールドトロフィチーム、ジュニア、ウイメンズは2周のまま。タフなシックスデイズがついに牙を剥いた。

釘村はオンザレール 

「ルートが厳しくてびっくりしました。マナブ君にバイクを引っ張ってもらったりして、なんとか通過できましたけど、正直疲れました」とこぼすのは釘村忠だ。「でもテストではしっかりと気持ちを切り替えて攻めることができたので、タイム的には影響していないと思います。ハイスピードなコーナーにも少しずつ慣れてきて、ちょっとつかんだ感じもします」と好調なところを見せる。E2クラスでの順位も39名中25位と徐々にポジションも上げている。「あと半分ですね。ちょっと疲れてきていますけど体調はいいので大丈夫です。今日もなるべく早く休んで回復させたいと思います」とパドックを後にした。

エクストリームエンデューロか! 

馬場大貴は「あんなところを走ったことないしびっくりしました」と移動区間のトレイルの難しさを振り返る。「ルートの前半でミスコースしちゃって、かなり遅れてしまったんです。それで移動区間でかなり飛ばさなきゃいけなくなって、それでタイヤを使ってしまったんです。1周目でかなりブロック飛ばしちゃって全然グリップしなくなって…。危なくて攻められないと判断して、そこからはテストでもペースダウンすることにしました」。無理してクラッシュするより、確実に走りきることにフォーカスした、と続ける。

馬場の順位はE1クラス40名中33位と順調だ。最大排気量のE3クラスを担当している前橋孝洋は、タイムチェックで合計2分の遅着ペナルティもあり、23名中22位と苦戦が続いている。ワールドトロフィチームの成績は、毎日チーム内で最も成績が低い選手のタイムが除外される「最下位除外」のシステムなので、現在のところチームジャパンのスコアに前橋のタイムは反映されていない。しかし、他の誰かにトラブルが発生すれば、すぐさま前橋のタイムが重要になる。前橋の責任は依然重たいが「だんだん身体も動いてきたし、転倒はありましたけど最初の2日間よりずっと調子がいいです」とコメント。移動区間の難ルートの様子を興奮気味に話す表情には、前橋本来の明るさが戻っていた。

クレバーな戦いを続けるマナブ 

「みんなから聞いていたISDEですから、厳しいルートがあることは覚悟していましたから驚きはしなかったです。自分でもなんとか走れるぐらいの難易度だったので良かったですよ。もっと難しいと思っていたので」。パルクフェルメに戻ったばかりの渡辺学はそれほど疲れた様子も見せていない。「最後のテストでコースアウトしてしまい、復帰するのに2分ぐらいロスしてしまったのが惜しいです。それ以外はすべて順調です。今日はタイヤが消耗してしまって、後半もライディングに影響しました。明日からは、そのあたりも考えて、タイヤのコンディションを維持しながらタイムを出すように注意します。タイヤに限らず、6日間が終わった時にトータルでベストな成績になるように意識していきます。みんなが同じ条件で、少しでもタイムを縮めようとしているわけですから、がむしゃらに走ったからといって良い結果がでるわけではないと思っています。自分の持っているベストな走りを最後まで続けることが結果につながると思ってがんばります」。

現在E1クラス40名中27位。ここまでスペシャルテスト合計で2時間24分38秒を走り、クラス首位のジョセップ・ガルシアとの差は19分弱だ。

変わり始めた勢力図 

チームジャパンはひとつ順位を上げて17カ国中13位。12位のノルウェイとの差は約9分と、ポジションアップの壁は低くない。ワールドトロフィの首位は逆転してUSA、2位にオーストラリア、3位イタリア。USAと豪州は1分12秒差の接戦。ウイメンズトロフィもUSAが首位、そしてやはり約1分の僅差で豪州が2位に続く。過去6連勝で「女子最強国」の名を欲しいままにしてきたオーストラリアの地位は揺らぎつつあると言える。そして23歳以下のジュニアトロフィもUSAが首位に立っている。2016年にオーストラリアが達成した「三冠」を今度はUSAが再現するか、それを語るのは早すぎるだろう。パルクフェルメに並んだホコリまみれのモーターサイクルたちは、4日目の夜明けを静かに待っている。明日も今日と同じ270km、8時間のタフな設定し、さらに荒れ狂ったスペシャルテストがエンデューロライダーを迎える。

レポート 春木久史

END

DAY3 SpecialTest 1 2 3 4 5 6 7 Total
#140 渡辺学 8:45.85 8:06.73 10:57.44 8:09.24 7:38.43 11:03.01 7:28.46 1:02:09.16
+1:16.29 +51.61 +59.26 +46.15 +43.94 +1:22.82 +1:23.62 +6:55.16
(76位) (82位) (77位) (79位) (76位) (73位) (93位) (73位)
#141 馬場大貴 9:18.41 8:28.14 11:32.30 8:55.53 8:19.55 11:24.84 7:15.21 1:05:13.98
+1:48.85 +1:13.02 +1:34.12 +1:32.44 +1:25.06 +1:44.65 +1:10.37 +9:59.98
(93位) (93位) (91位) (98位) (96位) (90位) (90位) (86位)
#142 釘村忠 8:32.99 7:49.58 10:47.77 8:10.11 7:30.24 10:44.24 6:41.84 1:00:16.77
+1:03.43 +34.46 +49.59 +47.02 +35.75 +1:04.05 +37:00 +5:02.77
(69位) (62位) (70位) (80位) (64位) (64位) (58位) (60位)
#143 前橋孝洋 10:06.50 9:03.81 12:12.31 9:31.52 8:26.52 12:23:33 7:27.75 1:09:11.74
+2:36.94 +1:48.69 +2:14.13 +2:08.43 +1:32.03 +2:43.14 +1:22.91 +13:57.74
(102位) (103位) (101位) (101位) (99位) (100位) (92位) (93位)

Add Your Comment: