(2017年)レストデイ(8/27)メカニック平田が明かす、鈴木健二マシンの実際

(2017年)レストデイ(8/27)
メカニック平田が明かす、鈴木健二マシンの実際

いよいよ明日、8月28日(月)、FIMインターナショナルシックスデテイズエンデューロ・フランス大会はDAY1を迎える。ライブリザルトもスタンバイOKで、日本にいるみなさんもウェブ観戦を楽しみにしているところだろう。ここで、最近脚光を浴びているウイメンズワールドトロフィチームについて簡単に紹介しておきたいと思う。

この、女性による国代表チームのクラスが制定されたのは2007年で、最初の優勝国はアメリカ。2006年のニュージーランド大会では、試験的に「ウイメンズカップ」としてチーム戦が行われている。チーム構成は3名で、その合計タイムを競うのは、ワールドトロフィーやジュニアトロフィーと同じだ。

ウイメンズクラスはオーストラリアが優勢

過去4年は、オーストラリアチームが連勝を続けている。ダカール女王でもあるライア・サンツがいるスペインチーム、フランスチーム、そしてアメリカチームも強いが、オーストラリアは層の厚さが違う。リーダー格のジェシカ・ガーディナーは、ENDURO GP(FIMエンデューロ世界選手権)にフル参戦も経験しているライダーで、その実力は、ライア・サンツに負けていない。即ち、大抵の男性はかなわないということだ。

ENDURO GPのトップライダーが、5分で走るテストだったら、ウイメンズの優勝者は、ちょうど6分で走り切りるスピードを持つ。これは、過去のデータから推測すると、MFJ全日本エンデューロ選手権だったら、IAクラスで確実に表彰台にからんでくる数字だ。

そんな「最強の女性ライダー」たちが、今年は9カ国から集結した。チームジャパンの戦いとともに、この勇気ある女性ライダーたちの戦いにも注目したい。

次の世代の育成を-メカニック平田

平田雅宏氏がメカニックとしてISDEに参加するのは今年で4回目。

過去には2010年のメキシコ大会、2016年のニュージーランド大会、2017年のチリ大会にトロフィーチームのメカニックとして同行している。基本的には鈴木健二と内山裕太朗のサポートで、今回もYAMAHA車両である2人のメカニックを務める。鈴木健二は既に40代半ば、そろそろ世代交代を意識せざるを得ない年齢に来ている。次の世代のライダーと共に、次の世代のサポートできる人間も育てる必要があると平田は言う。

「5年と言わず50年続ける、毎年必ずトロフィーチームが出せるような体制を作って欲しいなと思います。今のままだと、ただ参加してるだけなので、そろそろ次なるステージに行かないと。

ISDEのチームジャパンの次世代のフォーマットを確立していくことが必要だと思う。今回はJECPROの中西さんが同行しているので、JECPRO先導のもとでフォーマットを具体的な形として作っていくのがベストじゃないですかね。

これまで日本チームがISDEに参戦してきて、どの大会も皆が協力して順調にやってきている。フォーマットのベースは出来ていると思うので、次の世代につなげるためのフォーマットを確立し、引き継いでいってもらいたい」

過渡期を迎えるチームジャパンを、次のステージに繋ぎたいという日本のエンデューロへの愛情が平田から溢れ出る。

平田が切る、ワールドクラスのWR250F・450F

鈴木健二と内山裕太郎の2人は、アウトサイダーズYAMAHAというファクトリーチームのレンタルサポートを受ける。マシンは基本的に世界戦のエンデューロで使われている車両で、マシンの情報を事前にキャッチすることが難しかった様だ。

内容的にも「エンジンを開けて見ないと、どの様なチューニングをしているかわからない」と平田は言う。スタンダードをベースにして足回りとECUのモディファイを施してるのではないか、というのが平田の推測だ。

「かなり長時間乗っても疲れない作り方をしています。とは言っても、4スト250ccはパワーが無いと攻められないので、鈴木の250はパワーを出す方向で制作されていますね。一方、内山の450はホントに乗り易く作られている。まさに内山が求めてる作りです」

ここまでの1週間ライダーを見守って来た平田は、このYAMAHAチームをこう見る。「とても上手くいってます。2人とも海外遠征は慣れているので、マシンづくりにしても体制にしても、ほぼプラン通りに進んでいます。レースに関しても、きちんと事は運ぶと思う。帰ってきてからのワークタイムにしろ、途中の過程についても問題ない。

後はテストをどこまで攻め込めるかが課題になってくると思います。鈴木に関して言うと、今年が最後とは思わないですが、今がピークに来てると思うので、今年は是非ともゴールドを取ってもらいたい。本人がゴールドの方へモチベーションを向けてるのがいいと思います」

 

世界でトップを取れるマシン

鈴木によれば「世界でトップを取るセットアップになっていますね。エンジンも走るし、トルクの太さもあるし、前に進む。ライダーのスピードレンジやコース特性の違いだと思いますが、自分の好みとは違っていた。私は柔らかいサスが好みなので、サスを合わせこむのに苦労しました。

特にエンデューロの場合、エンジンも大切ですが、サスが合って無かったら絶対走れない。最後にはイイ感じに平田さんが仕上げてくれました。自分のパフォーマンスが出せるようなバイクに仕上がったと思います」

 

一番危ないのはオレだと思うけどね!

今回のチームジャパンは、経験と実力を持ち合わせた鈴木健二がリーダーシップをとっており、「ケンジ・ジャパン」と表現しても過言ではない。リーダーとしての立場から、一人一人にエールをもらった。

内山裕太郎へ
「経験が豊富で、一番ISDEを多く走ってる選手なので、レースに関する捉え方は全然違うと思う。その経験を活かして最後まで順調に走って貰いたい」

滑川勝之へ
「450cc以上の排気量は日本人の体格には難しい。E3クラスを走る滑川は排気量500ccのマシンに乗ることになるけど、人間とバイクとの相性を最後まで相談しながら走れば良いと思う。決して無理しないように走ってもらいたい。
大排気量のマシンを上手く使って、楽に乗って最後までつなげて欲しいなと思います」

前橋孝洋へ
「まだ若いのでどうしようも無いですが、世界のエンデューロにすごく詳しいのが災いして、トップ選手がいっぱいいることに興奮しているように見えます。それはいいと思うんですけど、興奮し過ぎちゃって、レースに影響が出なければ良いなと思います。準備期間で1週間経って、ある程度落ち着いてきたかな。今回の目標は完走であって、チームの成績っていうのは二の次三の次だと思うので、イケイケになり過ぎずに、落ち着いて走り切ってもらいたい」

「4人が大きなミスなく完走すれば成績もついて来るとは思いますが、完走しなくちゃどうしようも無いと思う。オレは結構攻めるつもりです。攻めないといけないし。大きなミスをするリスクがあって一番危ないのはオレかな?」

いよいよ明日はスタート。日本時間、15時に第1組目がエンジンをスタートする。

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